来年度、小児科を希望する研修医が減ったそうです。
スーパーローテートで小児科研修が必須になって、小児科診療の現実を目の当たりにすれば、それも当然だと思いますが。
このニュースをラジオで聞きかなり憤慨したので、今日は珍しく真面目な話をしようと思います。

新人医師、激務の小児科避ける?学会調査で志望4割減

 大学病院や大学の関連病院の小児科での勤務を希望する新人医師が、3年前に比べて約4割減少したことが日本小児科学会の調査でわかった。

 2004年以降、医師国家試験の合格後に、2年間の臨床研修が義務化されたが、同学会では「臨床研修で小児科の過酷な勤務実態に接し、敬遠されたのではないか」と危機感を募らせている。

 今回の調査は、小児科医の育成に対し、この臨床研修制度がどんな影響を及ぼしているのかをテーマに、研修を実施した全国約1000の医療機関を対象に行った。

 研修制度が導入される前の03年4月には、大学卒業後に大学とその関連病院の小児科に勤務した医師は502人だったが、今回の調査では、この3月に臨床研修を終える医師のうち、大学等の小児科勤務の希望者は276人にとどまった。

 また、研修中に小児科から他の診療科に志望を変更した医師は223人を数え、他の診療科から小児科に変更した70人を大きく上回り、若手医師の小児科離れを裏付けた。

 大学病院から地域の病院に派遣されて診療にあたる若手小児科医も多いだけに、日本小児科学会の衛藤義勝会長は「このままだと、地域の小児救急医療が危機的な状況に陥る恐れもある。小児科医の労働条件を改善するなど抜本的対策も必要だ」としている。


この3年間、研修医が研修できない病院にいたので、今の研修システムが実際どうなっているのか私にはさっぱり分かりませんが。
少なくとも私は昔から、「小児科楽しいよ、小児科においでよ」
とは口が裂けても言えない・・・・。自分にとって大切な後輩であれば、なおさら言えない。逆にとめるかも。

自分にとっては、「他の科もあんまり興味ないし、まぁこういう生き方もアリかな」とは思うけれど、他人様まで巻き添えにしたくはない。責任も取れないし。
一般小児科でも専門分野でも、私の知っている限り小児科はどこも極端な人手不足なのは身をもって感じている。
中堅どころはあまりの忙しさに嫌気が差してばたばた開業していき、さらに若手が入ってこなければ、まだ体力のある5〜8年目くらいに業務のしわ寄せが来る。
学会の会場内で、しかも上司の前で堂々と「もし良かったらウチの病院に来ませんか?」と勧誘を受ける(複数!)なんて、かなりどうかしている。

破綻寸前の小児科診療をかろうじて支えているのは唯一、「小児科医の良心」だと思っている。
4月から診療保険点数が上がったって、しがない病院勤務では自分の懐があったかくなる訳でなし。乱暴な言い方だけど、せめて、夜中に救急車1台受けたら100円でいいからキャッシュバックして欲しい。

しかも、会頭の発言。
どこをどうやったら抜本的な改革が出来るんでしょう?
「女性医師問題」だけでひとくくりするつもりはありませんが、女性医師が3割になる小児科で、女性医師に対する充分なバックアップがなければ目減りしていくのは明らか。
少なくとも結婚したての女性医師に向かって、
「人手が足りないから子供はしばらく産んでくれるな」なんて平然と言うような教授がいるようでは、改革なんて到底出来ない。
改善されないなら、今後の自分の身の振り方だって当然考えますよ。

なーんて、現在働いていない私が言っても全く説得力がありませんね。
もっと毒を吐きたいのですが、だんだん愚痴になってくるのでそろそろやめよう。
 
 
upした後でかあこさんの日記を見たら、同じ記事についてでした。失礼しました。
でも感じるところはやっぱり一緒なんですね・・・・。

コメント

かあこ
かあこ
2006年2月22日23:05

本当に感じることは一緒ですね・・・見事に同じ記事でしたね♪びっくり。

えすこ
えすこ
2006年2月22日23:27

実は、これを言っては「終わり」なのですが・・・・。
コメントを出している「会頭」が、全く知らない人ではないので余計に頭に来るのです。
知らない人の方がまだいくらかましだったかも・・・・。

ブログ脳外科医
脳外科医
2006年2月22日23:45

小児科の女医さんは大変なんですね.他科にもいますけど,医師の家庭は崩壊して当然みたいな発言をする教授って信用なりませんね.私は,健全な家庭あっての良心的な医師だと思って家庭半分仕事半分を理想にしていますが,先輩医師からの風当たりは相当強いです.

えすこ
えすこ
2006年2月23日0:06

確かに、脳外科医さんのおっしゃるように、患者さんからの「ありがとう」の一言でここまで頑張ったんだと思います。
ただそれ以上に、夜間の患者さんで、最低限のマナーすら守れない方がいらしゃるのも確かです。
受診する患者さん側にも、「何でそんなに小児科医が少ないのか」=「辞めていっているのか」を考えて欲しいと思いますが、そういうことを気遣ってくれる患者さんは大抵、「ありがとう」と言ってくださる患者さんです。
なんで私は午前4時に、患者さんが救急車で来るまでの間、救急室の処置台で仮眠しているんだろう・・・・・。
はっと気づくと虚しくなり、「やりがい」ってなんだろうと考えてしまいます。
最近は考えることすら虚しくなっています。

nophoto
半熟卵
2006年2月27日2:40

産婦人科はもっと深刻なようです。
統計データを公表してはいませんが・・・たぶん表に出るとこのニュース以上に問題になるでしょう。
しかも、20代の産婦人科医師の6割強が女性ですから。
私は、やっぱり自分の心身の健康を害するような仕事の仕方はしたくないと思っています。

えすこ
えすこ
2006年2月27日17:48

半熟卵さま
そうですね。産婦人科も女性のDrが増えてきましたし、かなり勤務実態は辛いですよね。
私は入局時に産婦人科と小児科で迷いました。
今となってはどちらが良かったのか分かりませんが・・・・。
いずれにしても、診療科の先行きが暗ければ仕事の負担は増大し、今後ベテランのDrから減少していくのは明白だと思います。
私は体を壊してしまったのですが、半熟卵さんには、自分が壊れてしまう前に気づいていただければと願うばかりです。

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